埼玉西武ライオンズ(ベルーナドーム)様での設置事例
株式会社 西武ライオンズ 村上 大介 様
埼玉西武ライオンズについて
©SEIBU Lions
埼玉西武ライオンズは、埼玉県所沢市を本拠地としているプロ野球球団です。数々のパシフィック・リーグ優勝をはじめ、日本シリーズ優勝、アジアシリーズ優勝など、その輝かしい成績は球史に刻まれています。
今回はその埼玉西武ライオンズの本拠地であるベルーナドームのAED設置事例をご紹介いたします。
~ベルーナドームについて~
狭山丘陵のなかにあるアウトドア感覚のドーム球場で、1979年から西武ライオンズの本拠地球場として球史に残る名勝負が繰り広げられた球場です。
1999年からドーム球場となり、2018年からはベルーナドームの更なるボールパーク化を目指し、大規模な改修工事が行われています。外野席には珍しい芝生席の設置や、豊富なスタジアム内外での充実したグルメも人気があり、大人も子供も空間ごと楽しめるドームになっています。
今回はベルーナドームへのAED設置に関して、株式会社西武ライオンズ 管理部 リーダーの村上様からお話を伺いました。
主なAED設置場所
ベルーナドームの救護体制について
管理部の業務として試合中のお客様同士のトラブルをはじめ、ボールが当たった方の応急処置や体調不良の方のを対応をしています。その一環としてAEDの管理などもしています。
球場には救護室があります。救護室には契約している病院から医師と看護師が毎試合派遣され待機しており、お客様に何かあればすぐに対応できる体制をとっています。
試合中には多くのお客様が集まるため、年間約500人くらいの救護をしています。
1試合でも3,4名の方が救護室を使用されます。特に夏場は熱中症をはじめいろいろな症状で利用される方が多数いらっしゃいます。
管理部 リーダ 村上様。試合中は様々なお客様対応業務をされている。
AED設置について
初期導入は2012年です。現在は全部で14台設置しています。
当初の設置はドーム内とその周辺でしたが、現在は選手が使用するライオンズ トレーニングセンターや選手の居住する若獅子寮、第二球場用にも設置をしました。若獅子寮の1Fではスタンド型収納ケースに入っています。目立つのでどこに設置しているか一目でわかり、緊急のときには取りに行けるようになっています。
駅前インフォメーションセンターに設置したのは、球場の反対側にある医務室やAEDが設置しているL’s(エルズ:球場内の店舗群)エリアから遠いということがあり、すぐに対応できるようにという配慮からです。
社内教育でAEDの設置場所は周知されていますので、何かあっても社員やアルバイトの方がAEDを使用できるようにしています。
ベルーナドーム横にあるライオンズ トレーニングセンター。こちらにもAEDが設置されている
AEDを実際に救護に使用した経験から画面付きAED-3150の選定へ。
私が実際にAEDを使用したケースは3件です。救助に使用した機種は旧式の画面のないタイプのAEDでした。
観戦中に倒れた方を通路上で処置をしなければならなかったのですが、野球場というのは、試合中は応援のトランペットなどの音楽や観客の大きな声援が飛び交います。傷病者の周りを取り囲むお客様の大きな声などもあり、AEDの音声指示だけだと聞き取りにくいことがありました。
AEDの心電図解析の結果、電気ショックは必要がなかったのですが、音声指示が出ているものの、周りの騒音でよく聞こえずに本当に押していいのか、何をすべきなのかと不安になりながらの救助でした。実際にAEDを使用してみて気づいたことですが、画面付きがあるのであれば、球場のような場面では効率的に救助ができるのではないかと思い、今回画面付きのAED-3150を選定しました。
実際に設置が終了したので画面のインストラクション機能の効果を期待しているところです。
実際に電気ショックをしたケースは2件です。2ケースとも救急車で病院に搬送されました。搬送された後は消防や搬送された先より特に事後報告はないので、悪い結果はではなかっただろうと推測しています。
実際にAEDを使って救助をした経験から、いくら講習を受けていても緊急の場合は次に何をしてよいのか迷ってしまうことがわかりました。それをAED-3150のフルカラーの画面でガイドしてもらえることで、落ち着いてAEDを使えることを期待しています。
フルカラーインストラクション機能付きAED-3150
講習会について
私たちは誰もがAEDを使用できるようにと年に1度、消防署の方に来ていただいて入団した1年目の選手と社員で救命講習を受講しています。
皆、普通救命講習の資格をもっています。入団した1年目の選手に対しては教育の一環とも考えており、なるべく多くの人がAEDを使用できるようにと意識しています。
おそらくライオンズの選手は全員AEDの使い方を理解しているのではないでしょうか?
以前、審判が試合中に急に倒れたことがあったのですが、打席にいた選手はその瞬間に「AEDを持ってこい!」とスタッフに指示をしていました。
実際はAEDを使用するような重篤な状態ではなかったものの、選手自身も救命やAEDに対して高い意識を持ってくれているのだと感じました。
ライオンズトレーニングセンター内に設置してるAED。選手の練習風景を見守っている
AEDの設置管理、AEDリモート管理システム AED Linkageシステムについて
通常は警備員などで適宜、異常がないかを目視で確認はしていますが、人間がしていることなのでもしかしたら見落としなどもあるかもしれません。そのような時にメールでお知らせをしてくれるAEDリモート管理システムAEDLinkageは非常に安心できますし、便利であると思います。
場所も登録しているのでどこでエラーが発生しているのかも把握できるのがとても良いと思います。
AEDのセルフテストの結果や消耗品の適切な交換を案内するAEDリモート監視システムイメージ
今後のAEDに期待すること
多くの人がどこにAEDが設置されているのか知っておくことが必要であると思っています。
AEDを設置している会社に在籍し、救命講習を受講している以上、どんな場面でもAEDを使用できなければいけないと思っています。そのためにはどこにAEDがあるのかたくさんの人に知ってもらえるような環境を整えてほしいです。またメーカーをはじめ、AEDを販売する業者の皆さんには設置後にはアフターフォローを引き続き手厚くしてもらえることを期待しています。